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それなのに何を言うんだと、その時にただ
「そうですか」
とだけ答えたリュウ・スノーベルは後に後悔することになる。
その三日後にジェイが命を捨てたからである。
ああ、なんてことだ。
信じられない。
後日、彼の妻に呼び出され再び訪れた大きな絵の前。
その絵を見てリュウは驚愕した。
誰もが素晴らしいと称する絵は、赤い絵の具で派手に塗りつぶされていて元の姿など一切分からない無残な姿になっていた。
彼の妻が無言で指をさした絵の隅の方には、白い字で
「私は君の描く、まるで昔の写真を見ているような暖かな気分になれる絵が好きだった」
とだけ書いてあった。
君とはジェイの唯一の友であるリュウのことである。
爺様と孫ほどに年の離れた二人は周囲に驚かれながらも常に一緒に居たのだった。
「俺も貴方の嵐のような荒々しく激しい絵が好きだった」
絵を見ながらこぼした言葉を聞いたのは本人ではなく妻。
もう届く事のない感想は虚しく消えていった。
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