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しかし、時には今のように一切の物を買い取ってはくれない人も居るので、絵の具を買うお金を集めるだけでも大変だった。
こうして多くの芸術家は絶望し、命をおとしていく。
リュウの今日の客は格別に悪い相手だった。
派手に飾られた髪に、赤いルージュ。
きつい香水の匂い。
消えてしまえばいいのに。
リュウは柄にもなくそう思ってしまった。
自分の美にしか興味のない奴に大事な作品を理解してほしいなど思わなかった。
だから値段交渉をいつもより高く行った。
それが今回舞い込んだ交渉の不成立の理由となった。
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