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売れ残った絵を大事に持ちながら家までの道を歩く。
誰からも評価されないというものは辛いものだ。
しかし逆に社交辞令で
「あら綺麗な絵ね、お幾らかしら?」
なんて聞いてくる奴には殺意さえ湧き、絶対に作品を渡したりはしない。
それだけがリュウの誇りである。
その誇りは同時に支えでもあった。
そんな日々の、心身ともにギリギリな時だった。
リュウはついに見つけたのだ。
いや、正確には見つけられたと言った方が正しい。
渾身の力作だった筈の売れ残りの絵を、一人の身なりの良い少女がジッと見つめていた。
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