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そして次の瞬間、その絵を奪われると共にポンと渡された札束。
一瞬、時が止まったように感じた。
しかしすぐに我に返り、重そうに絵を持ち歩く少女に駆け寄った。
「家までお持ちします」
ヒョイとその絵を少女から奪い、ニコリと営業用の笑顔を見せた。
それに少女は無表情で頷き歩き始める。
リュウは慌ててそれに着いて行く。
お互いに無言の中、リュウは思い出していた。
かつて自分が親友にしてやれなかった事を。
感想を聞きたい。
そう初めて強く思った。
何故この絵を選んだのか。
ただの同情か、それとも他に何かあるのか。
ウズウズするのを必死に隠し、リュウは足を止めた少女と共に大きな家を見上げた。
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