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少女の手により、チリーンとドアの横にあった鈴が鳴る。
すると中からバタバタと慌ただしい音と共に中年の男性が現れた。
彼は一度リュウを見るが、すぐに少女に視線を移し
「ミウお嬢様ぁ!ご無事で何よりです!」
と情けない声を出して抱きついた。
だがすぐに再度リュウに視線を移し、まるで庇うかのように少女を背後にまわした。
「お前は誰だ!この方はシルフォード家のご令嬢、ミウ様だ。お前のような者が近寄っていい方では……」
男の言葉が最後まで続く事はなかった。
それはミウと呼ばれた少女がリュウの持っていた絵を大切そうに受け取ったからだ。
ミウはそれを男に渡し、一言だけ
「大切」
と呟いた。
すると男は大きく目を見開いてリュウとミウを交互に見つめた後に
「どうぞ此方へ」
と言ってリュウに深々と頭を下げたのだった。
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