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轟音が轟く滝を見上げ、私は大きなため息をついた。
「こんなに綺麗なのに…」
絶壁を流れ落ちる水は盛観で、滴が飛んで涼しい所も魅力的。
なのに、呪われた滝と名高いのが、このナヤの滝である。
一度でも沈むと、二度と上がって来れないと言われている。
滝が近い町からの依頼で、呪いを解いて安全にしてほしいとのこと。
「頑張らなくっちゃね」
そう思っていると、崖の上に滝を覗き込む人影が見えた。
危ないわね…。
彼処から落ちたら、呪いとか関係無く死ねるわよ。
若い男…いや、少年?
ちょっと年下くらいかしら。
暢気に観察していると、少年が崖から滝に落ちた。
「なっ…!嘘でしょう!?」
私は身を乗り出した。
「纏え風よ!」
咄嗟に浮遊の魔法を放つ。
少年の落下は徐々に減速し、水面に着く前に止まった。
「貴方、何考えてるのよ!?」
岸に移動させた少年に、怒鳴り付ける。
「…すみません。落ちようと思った訳じゃ無いんですが…」
当たり前じゃない。
それは自殺と言うのよ。
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