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「あんな所から覗き込むからよ!あの高さは死ぬわよ!?て言うか、この滝は呪われてるんだから、低くても落ちたら死んでしまうわ!!」
少年はきょとんとした。
どうやら、現地の人間では無いみたいだ。
現地の人間なら、自殺希望者以外は、あんな場所から滝を覗き込む訳がない。
「はぁ…そうなんだ。こんなに綺麗なのに…勿体無い」
「あ…貴方もそう思う?此処、綺麗よね」
町の人は怖がって、水辺にも近付かない。
観光名所に相応しい風格なのに、呪いの性で人気無いのが寂しい。
「本当は、貴方が滝壺を見たくなるのも分かるのよ。こんなに綺麗なんだもの」
「緑に囲まれて、素敵ですよね」
この風景の価値が分かるなんて…この子、良いセンスしてるわ。
「私はマリアよ。シエルのギルドから、この滝の呪いを解きに来たの」
「僕はカインです。色んなものを見て回るのが好きなので、吟遊詩人の真似事をしてます。僕に手伝える事があれば、言ってください」
そう言って、カインが笑った。
なかなか殊勝な子だわ!
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