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「と…兎に角!少しでも、不可能を可能にするべく、苦手な分野でも頑張らなきゃいけないのよ!」
「…苦手なんですか。呪い」
「そ、そんな事っ…有るけど…」
そう言って、項垂れる。
「大丈夫ですよ。頑張ってください」
カインが微笑んだ。
「が、頑張るわよ」
ちょっと照れくさくなって、慌てて資料に目を通す。
夜になっても、それは続いた。
「あの…僕はそろそろ、自分の宿に戻りますね」
眠くなってきたのか、カインが言った。
「あら。此処に泊まっても良いのよ?」
私が言うと、
「そうですか?じゃあ、自分の荷物取ってきます」
カインはそう言って、部屋を出て行った。
「ええ?冗談で言ったのに…。まぁ、良いけどさ」
どうやら、カインは相当な天然らしい。
直感力に優れていて、頭の回転も驚くほど早いのに…対人関係に関しては、鈍感と言って良いほどに、空回りしている。
まぁ、素直で可愛いから、別に良いけど。
私は資料を読むのに熱中し、カインが戻って来るまでに、分厚い冊子を三冊読み終えた。
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