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荷物と言っても、護身用の棍棒と、野営用の寝具、保存食などの必要最低限のものしか、カインは持っていなかった。
それ以外のものは、何一つ無い。
「お金は…?」
「持ってないです。物々交換が主なので」
私は呆れた。
まだ子供だから、仕事で得る金銭が無いのは仕方無いとして、一銭も持っていないなんて…。
「あ…貴方、ギルドに入る気は無い?簡単に言えば、私の助手にならないかしら?」
此処で会ったのも、何かの縁だわ。
何処かで飢え死にする前に、この子に働く事を覚えさせなくちゃ!
「それは良いですけど…僕はあまり、役に立て無いと思います」
カインが言った。
「今はそれでも良いのよ。私が魔法を教えてあげる。いざって時に、雇用が広がるわよ!」
「魔法をですか?それは楽しみです。助手の特権ですね」
魔法を習うには、莫大な費用が掛かる。
それこそ、都に家が買えちゃうくらいに。
それを無料で教えるなんて、誰もしないんだろうけど…雑用手伝ってもらえるなら、そのくらい安いものだわ。
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