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レイミの怪物と言うのは、ストレッド地方に伝わる人拐いの怪物で、人を拐っては、住み処の森で食うらしい。
「そんな化物を倒しに行くとか…お前は馬鹿だろう?」
森の木々を掻き分けながら、俺はやる気無く呟いた。
「馬鹿って言うな!本当に拐われて、それっきり戻って来ない子供がいるんだぞ」
ある村の話では、80年は昔から、度々子供がいなくなるらしい。
「俺達まで、食われたらどうするんだ」
連れのフィリップに問う。
レイミの怪物を退治しようとか言い出したのは、こいつである。
「報酬も出ないんだぞ。ボランティアでする事じゃないだろ…」
「金の亡者かよ?軽蔑するぞ」
「何とでも言え!」
俺は何となく、あの村に胡散臭い感じがしたんだ。
子供が拐われた割には、救出を望む声を聞かなかった。
この地方は飢饉が続いている。
もしかしたら、口減らしに子供を捨てているのでは…。
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