19人が本棚に入れています
本棚に追加
ちっ…面倒くさいが、仕方無い。
適当に探してやるか。
木々を掻き分け、ちょっと多目に休憩しながら、確実に森の奥へと進んでいく。
陽が暮れ始め、此処等で野宿の準備でもするかと思い始めた時…
「…あ?」
突然、拓けた場所に出た。
いや、別にそれだけなら大した事は無かったんだが…
その拓けた場所に、割と大きな家が建っていて、側に畑まで有ったのだから驚いた。
「…誰?」
畑にいた女が、此方を見た。
「あ~、名前はメイソンと言う。けして、怪しい者じゃないんだが…」
「それは今、判断しかねるけど…取り合えず、こんな森の奥深くまで、ご苦労様」
そう言って、立ち上がった女の足先は、獣のものだった。
獣人…だろうか。
「良かったら、泊まっていかれる?部屋ならあるわ。旅人さん」
「あ…じゃあ、お言葉に甘えて」
俺は招かれて、家の中に入った。
入って、また更に驚いた。
たくさんの子供が、物珍し気に集まってきたからだ。
「内緒よ。旅人さん。此処はレイミの怪物の家なの」
女がくすりと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!