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「レイミも来れば良いじゃないか」
俺は思い付くままに言った。
「そう出来たら良いわ。でも…私、人間じゃないんだもの」
「獣人…じゃないのか?」
「私はキメラよ。魔獣ラウウルフと人間の混在種」
言葉に詰まる。
キメラの生成は魔法の禁忌だ。
しかも、魔獣となんて聞いたことも無い。
「人の感情が残ってる時点で、奇跡としか言いようがないのよ。ラウウルフの本性の方が強いの」
魔獣ラウウルフ…
人の二倍はある獰猛な大狼。
炎を恐れず、剣も刃が立たない。
人里離れた雪山に住むが、戯れに人を襲う事もある。
「…人を襲ったことは?」
「無い…とは言えないわ。何かの拍子で、人間の理性なんて飛んじゃうんだもの。でも、殺した事はないわ」
「なら良い。大丈夫だ。キメラだって言わなければ、何とかなる」
俺は言った。
「え…そういうものかしら?」
レイミが唖然とした。
「ただの人間にだって、救えないような悪い奴はいる。お前の方が人間らしいよ」
こんな人知れぬ森の奥深くで、捨てられた子達を育ててる奴が、悪い奴な訳無い。
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