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香織は廊下側の一番前の席に荷物をおろした。
名字が『安西』なので、出席番号も一番…という
学校側にしたらありきたりの光景だ。
凛は『水凪』なので少し離れた窓際近くの後ろの席に荷物をおろす。
凛が荷物をおろすとほぼ同時に、香織には友人らしき人物から声がかかっていた。
「ねー、どこの中学から来たん?」
前髪を斜めに下ろしたストレートロングヘアーの子が話しかけている。
「あー、あたしはねー…」
香織は凛にしたように屈託の無い笑顔でその子と話していた。
「(…なんだろ、胸が苦しい)」
凛は言い難い感覚を感じていた。香織と他の子の仲良き姿をみていたら、急に胸が靄に包まれた様な、居たたまれないような感覚に襲われたのだ。
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