10人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
凛は手早く制服を着、台所に向かって母親に
「行ってくんね」
と一言だけ残して家を後にした。
毎朝の光景だった。
朝食の準備をして凛を待ってる母親と何時しか言葉を上手く交わす事が出来なくなった。
母親も最初は声をかけていたが、凛は返答を待つ間もなく家を後にしてしまう。
母親は
「…凛…」
と、延びかけた手を自分の娘に触れる事も出来ないまま
いつの間にか年月だけが経ち、親子の会話は段々と削られて行った。
最初のコメントを投稿しよう!