10人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、新しい‘ぬくネコ’出たんだって?!」
香織はショートカットの癖毛を掻き分けて凛の顔を覗きこんだ。
「あ、そうなんだ?あたし、このぬくネコ以外持ってないんだよね(笑)」
凛は長い髪の毛をシュシュで束ねながら答える。
「ほら、このぬくネコだって香織からもらった物だし(苦笑)」
香織には友人が多く、何時も何処からか新しい情報を持ってきては、屈託の無い笑顔で様々な人に話しかける。
この‘ぬくネコ’をもらったのも些細な事がきっかけだった。
香織がまだ中学生の頃のある日、弁当を忘れた事があった。
「あちゃー、しまったなぁ。」
「な、な、皆。お願い、ちょっとずつ分けて(笑)」
皆に弁当カンパをしてる香織に、父親が長期出張に入ったばかりの自分は食欲がなくて
手をつけてない弁当を差し出した。
そのお礼に‘ぬくネコ’をもらったのである。
最初のコメントを投稿しよう!