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「良かったな」
祐希はニカッと、また屈託の無い笑顔を見せた。
でもその裏には―――…
凛はつい詮索してしまいがちになる自分に、頭の中で
「(…こら!私っ)」
と自分で自分を叱っていた。
気質が真面目なので、他人様の話に口を突っ込むなんて…!
という考えなのだ。
凛がカモミールティーを一口飲んで、ほっとしている様子を祐希は眺めていた。
祐希なりにゲーセンで出会った時から気がかりだったのだろう。
目が虚ろになって、行き場も無く佇んでる―――
そんな感じに祐希の目には写っていたのだから。
…あながち嘘ではないが、初対面の人間にそう感じ取られていたのだから、あの時凛が出してた‘空気’は独特のものだったんだろう―――。
祐希はそれを察知する力が強かったのか、凛と同調したのかは、今は明らかではない事だけは確かだ。
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