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陸斗がコロナをテーブルに置いてくついでに、薄い膝掛けを凛に渡した。
「スカートだと冷えるだろ?5月っつっても女の子に冷えは大敵だよ(笑)」
―――気が利くなぁ…
凛は陸斗を見ながら思う。
陸斗さんって、見た目切れ長な瞳だし、長髪束ねてるし…一見強面なのにな。。
更にバーの店主なんて言ったらモテるだろうに…
…と、ここまで考えて凛はハッとした。
「(また詮索する癖でちゃった)」
陸斗は凛の顔を見て「どうかした?」とでも言いたげな顔をしていた。
―――が、凛は頭の中で勝手に妄想…もとい詮索をしてたなんて言えなくて
「あ、有り難うございます」
と言って誤魔化した。
陸斗は不思議な笑みを浮かべてキッチンにまた戻って行った。
凛は祐希に口を開く。
「あのね…」
外からは雨足の強まる音と、店内に流れるBGMが混ざりあって
色んな感情を込めた音色が凛達をまとっていた―――。
現しがたい、音色を―――…
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