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せきを切った様に、涙が溢れ出す。自分の意思とは別に、まるで涙が生きてるかの様に…
ずっと抱えていた不安や、たまに聞こえる声の事―――
誰にも言えなかった、言えなかった。
いや、言いたかった。
でも言う‘術’が判らないまま、心には空虚というモンスターが支配範囲を広げていく。
凛はいつの間にか、声を出して泣いていた。
外に降る雨が涙と交えて、凛の毒気を流してくれてる様に思えた。
そんな様子を見て
祐希はコロナの瓶を口にあてながら、何も言わずに凛の頭を『ポン』と叩いた。
「……涙が出るだけマシじゃね?」
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