鍵、みつけた

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選択制の授業は、わざわざ全部違うものにした。 今度こそ可能性は消えたと思ったのに。 「また同じクラスだね。小林サン。」 中学生のころから変わらない、少し鼻にかかったような可愛らしい声が、わたしの耳から頭を突き刺すように入ってきた。 「仲良くしよお?」 首を傾げながら笑顔を見せる天使のような悪魔は、手を差し出しながらわたしを見ている。 返事もできないまま俯いていると、わたしの右手を彼女の左手が引っ張った。 「教室行こっかあ!」 手を引かれるままわたしは、また始まる絶望への玄関をくぐった。
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