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さて、そろそろだ
わくわくしながら見ていると、彼女はお腹を押さえ、切ない顔で言った
「…お腹減った」
やっぱり
笑みを噛み殺しながら答える
「分かった。ご飯にしよう」
「お肉。絶対お肉」
「はいはい…って…あ」
苦笑いしながら冷蔵庫を開けると、その中身は空だった
「…ごめん。無理」
「買いに行きなさいよ」
「雨の中?」
「…私も行ったげるから」
おや
珍しい。
僅かに赤い顔で、立ち上がる彼女
「…珍しいですね」
「うっせ。早く準備してよ。良いお肉無くなっちゃう」
「うぃうぃ」
頷き、立ち上がる
傘を持とうとして、君が何も持たずに出るのに驚いた
「…あによ」
赤い顔で、睨んでくる
「…いや、別に」
勝手に顔に浮かぶ笑みを自覚しながら、『赤い傘』を『一本』、持った
さて
雨は、もう少し、降ってくれるだろうか
END
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