◆悠希と和と軽音と

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「人に名前を尋ねる時は、まず自分から名乗るもんだぜ?」 「最悪な貴方なんかに名乗る名前はねぇですよ!」 ……しばいてもいいだろうか? とは思ったものの、こんなミニマム生意気少女相手に本気になるのも大人げない。 ……そうだ。こうしよう。 俺は溜め息の後、自販機から何か適当に買い、少女に背を向けた。 「そうか。じゃあ、またな」 「嘘です嘘です!朝霧飛鳥(あさぎりあすか)です!ほら、名乗ったんですからそっちも早く名乗りやがれ、です!」 ……ミッションコンプリート。 このミニマム生意気少女、飛鳥に先に名乗らせてやって、ややテンションが上がってるのは隠して、俺も答える。 「俺は成宮悠希。よろしくな、飛鳥」 「飛鳥を呼び捨てなんて百万年早いです!最悪です!……と言いたい所ですが」 飛鳥は一息着いて、 「悠さん、もしくは悠くんと呼ばせてくれれば、特別に許可してあげてもいいですよ」 グサッと、何かが心に突き刺さった気がした。
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