◆ゆうやけ色の婚約式

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――……ねぇ、ゆうきくん。 少年の名前を呼ぶ。 少年はどうしたの?と聞き返して来る。 ――わたしね、ゆうきくんのこと、だいすきだよ。 ――ぼくも、のどかちゃんがすきだよ! 少年も笑顔でそう言う。 釣られて少女も笑顔になる。 ――じゃあさ、わたしとけっこんしてくれる? ――けっこんってなに? 少年は?マークを浮かべて尋ねてくる。 少女はそれに笑顔で答えた。 ――けっこんするとね、だいすきなひととず~っといっしょにいられるんだって。わたし、ゆうきくんとず~っといっしょにいたい! ――うん!ぼくものどかちゃんとず~っといっしょにいたいよ! その言葉に少女の笑顔が弾けた。 夕焼けに照らされた少女の笑顔は何よりも輝いていた。 ――じゃあ、ゆうきくん。め、とじて? ――うん。わかった。 少年が目を閉じたのを確認すると、少女は少年の頬に柔らかなそれを軽く当てて離す。 少年は何をされたのかわかっておらず、おどおどするだけだ。 少女も夕焼けで隠れてはいるが、顔が赤くなっていた。 恥ずかしさを隠す様に少年の手を取ると、走り出す。 ――かえろっ!ゆうきくん! ――まってよ、のどかちゃん! これはとある少女の大切な思い出の一ページ。 そして、季節は幾度となく巡り、二人は高校二年の春を迎えた。
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