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何かを確かめているのか。
じっくりと時間を掛けて這わされた指が、突然勢い良く彼女の内股を押し広げた。
「やぁ……だっ……」
抗う吐息には不可抗力の熱を浮かべて。
意識とは裏腹に、反対の内股さえ自ずと見せ付けんばかりに外向きに開いては、奴の顔が下って来るのを待っていた。
指が、舌がそこで踊り始めるよりずっと早く、それそのものが心臓にでもなったみたいに激しく脈を打ち、昨夜と同じ訪問者を言葉も無く待ち焦がれているのだ。
「……お迎えに上がりましたよ、“姫”」
そう言って、奴は不敵に口元を歪ませる。
底の見えない泉に滴る、快楽と云う名の毒を含んだ蜜を拭うと、あざとく己が口で啜った。
拒む力ですら一緒に飲み込まれたかと思う程、香奈は身体を開いたままで自らの顔を両手で覆った。
――……なんで、あたしは感じてるの?
なんで、あたしはこの人と此処に居るの?
なんで……。
真冬特有の悪意の無い柔らかな太陽は、既に街全体を照らしていた。
半開きになったカーテンから室内のごく一部にだけ強烈に差し込んでは、立ち上る蜜戯の熱をも当たり前のものの様に白日に晒してしまう。
律動される度に押し殺していた筈の喘ぎを口の端に漏らして、香奈は何時しか奴の背中に縋った。
堪え性の無い子供の様に、更なる律動とそれに伴う快楽の波を強請(ねだ)って。
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