第一章

2/7
前へ
/26ページ
次へ
大学に入ってから三回目の春。 桜の花びらが綺麗に散った。 あたし、春日美緒はまた男に別れを告げられていた。 「俺は美緒についていけない。美緒は俺なんかいなくても平気だろ?…そういうことだから…じゃあな。」 いつも同じようなことを言われていた。 だから、ああ…またかみたいにしか思えなかった。 でも、一体これで何回目? 美緒は指をおって数えた。 1…2…3……5……15…か。 美緒はむなしくなりため息をついた。 失恋したのに泣けないのは、あの男があたしに合わなかっただけだから。 でも、これだけ同じ理由で振られるのはさすがに堪えるなあ。 美緒は家に入ろうと玄関の前にある扉を開けようとした。 すると、誰かが声をかけてきた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加