第一章

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そして予想もしなかったことを口走ったのだ。 「美緒ちゃん、俺と付き合おうよ。」 美緒は一瞬に何を言われたのか理解できなかった。 美緒は驚いた顔をしてパチパチと瞬きをして那智を見た。 那智は何も言わずにただにっこりと笑ってみせた。 ようやく美緒は理解した時に、これは冗談だと思った。 「高校生のくせに何言ってんのよ。あたしをからかおうなんて十年早い……。」 「からかってなんかないよ。」 美緒が言い終わる前に那智が言葉を発した。 その言葉に不覚にも美緒はドキッとしてしまった。 それはきっと普段少年のような那智の顔が急に大人びて見えたからだ。
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