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祖母は帰って来ない
津閖の中では、タケがと言うより自分が、と言う意識が強い
誰にも言わないが、心の中で思うのは止められない
だけどあの時守ってくれたグレイス、逃げなさいと言った
全て忘れて日常に戻った俺と暮らしたケビン。恨む日がなかったか、もう聞けない
それでも彼が聞かせてくれた、教えてくれたものに、そんな感情はどこにもなかった
それを忘れなければ、津閖はきっといつか全部受け入れて、思い出に出来ると思っている
「迅夜」
「ん」
明日も仕事だー、と切り上げたままどこにも寄らずブラブラ帰る
「さっき俺が土産渡したり、初対面の源慈さんの方にお前が座ってくれたりしてくれたろ」
「うん?うん」
「あー言うの俺出来ないから、お前そゆとこ本当しっかりしてるよなぁ」
「…俺はタケさんの横に座らせたら津閖が辛かったかな、と逆に思ってたけど」
「…恨んだりしてないよ」
「ついてかない気持ちもあんだろーなと思って。でもまぁ、良いのなら良かったよ」
迅夜がにこっと笑って津閖の頭を撫でた
「……突っ込んでやる」
「……本当お前の発言は突飛だな」
お尻を触ろうとする津閖を避けて、迅夜は笑いながら走って逃げた
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