一線超えるとそれも愛

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  旧校舎は2年前まで使われていたなんて思えないほどガタがきて床なんかギシギシ軋む   気づかれないように距離をとってゆっくりと慎重に歩いていると奴が部屋に入っていく   部屋に入られたら出てくるのを待つしかない   なにかが起こるまで俺は息を殺して待っていた   しばらくすると中からなにかが聞こえてくる   耳障りな雑音のような高い声と耳をくすぐるような水音   しだいにその音は早くなり聞こえる声も合わせて加速した   最後に糸を引くようなうめき声が聞こえて、足音が閉じられた入口へと近づいてくる   俺は慌てて入口が開けられたままの教室へと逃げ込んだ   そして見た   誰が出てきたかを   知らない奴だった   しかも男二人   俺はわけがわからなかった   そして奴らが出てったあと眼鏡が入っていった部屋を覗く   独特の青臭い匂いが部屋に充満していた   そして俺が見たのは眼鏡の下の黒い顔だった  
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