プロローグ

2/6
前へ
/92ページ
次へ
彼女にはできないことを、目の前でその女はやろうとしていた。 「……すまない。私たちが力不足なばかりに……」 長い金の髪が、吹き荒れる風にバタバタと舞う。 自分の無力感を噛み締めながら、彼女は目の前の女に詫びた。 「別に構わないって」 黒髪の女は、さも当たり前のように返した。 「あっちから、私が一番信頼できる奴が扉閉めるからさ」 目の前にある人の頭ほどの大きさの不思議な色をした珠に、女は剣を向けた。 「聞いてんでしょ!! ちゃんと私が壊したら!! 扉閉じろよ!!」 女が大きな声を張り上げ、扉の向こうにいる相手に伝える。 「わかってるよ!!」 扉の向こうから、相手も怒鳴り返す。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加