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彼女にはできないことを、目の前でその女はやろうとしていた。
「……すまない。私たちが力不足なばかりに……」
長い金の髪が、吹き荒れる風にバタバタと舞う。
自分の無力感を噛み締めながら、彼女は目の前の女に詫びた。
「別に構わないって」
黒髪の女は、さも当たり前のように返した。
「あっちから、私が一番信頼できる奴が扉閉めるからさ」
目の前にある人の頭ほどの大きさの不思議な色をした珠に、女は剣を向けた。
「聞いてんでしょ!! ちゃんと私が壊したら!! 扉閉じろよ!!」
女が大きな声を張り上げ、扉の向こうにいる相手に伝える。
「わかってるよ!!」
扉の向こうから、相手も怒鳴り返す。
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