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「今までだって終わることのない闘争を終わらせて、壊されるはずの場所を守ったんだ」
もう、その目に迷いはない。
「繋がらない世界だって、越えてみせる」
ざわりと女の周りを風が応える様に吹き荒れる。
「あのどうでもよくて、しょうもなくて、私が唯一望んだ世界に、私は帰る」
断固とした決意を持って女は言う。
「どれだけ時間がかかって、辛かろうが、苦しかろうが、必ず帰るから」
ふと、空に向けて優しい視線を送る。今まで見せたことがないような柔らかな表情。
「待ってなさいよ……」
それだけ言って、女は歩き出した。彼女もそれに続く。
「あら? どしたの」
「私も手伝う。お前が元の世界に戻れるように」
そこから先に言葉は要らなかった。
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