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「ゴメン、涼子さんっ!」
大きな声がキッチンから聞こえた。荻野だ。
「はっ、はーい!
伊達君ゴメン、少し待っててね」
そう言うと涼子はキッチンの方に駆けて行った。
キッチンから萩野が顔を覗かせて
「伊達君もゴメンね、ちょっと邪魔しちゃうわよ」
と笑ってみせた。
開店前の『ミラージュ』は静かなものだ。
前回取材で来た時のお客さんの数といったら誰の声も届かないぐらいの騒がしさだった。
残っていた紅茶をグイッと飲み干すと伊達はキッチンに近付いて中を覗いてみた。
中では荻野と涼子が大きな肉の前で腕組みして話していた。
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