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明治の時代、羊の肉を食べるなんて考えられなかった。
荻野は大きな包丁をとり出して肉に更に細かい数本の切れ込みを入れた。
「こうする事で肉に下味が染み込むのよ」
得意そうに涼子が言った。
「涼子さん、倉庫から赤ワインをとって来てもらえるかしら」
萩野が肉を揉みながら言った。
「ワインでしたら、キッチンの棚に入ってますけど」
涼子は棚に手を伸ばす。
萩野はその様子を見て言った。
「ゴメン、そのワインは使わない方がいいわ。昨日の料理中に調味料が入っちゃったの」
それを聞くと涼子は慌てて倉庫へ駆けて行った。
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