せみ

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昔父と遊んだ公園。 初めてのガールフレンドと散歩した山道。 仲間との秘密基地を作った空き地。 それらの全てが形を変え、高層ビルが建ち並んでいた。 まだ残っている土地すらも無くなるという話だった。 しかし、そんなことは私にとって今日の夕食よりも気にとめることではなかった。 私は何の魅力も見出だす事ができずに、大学を中退し、アルバイトもせずにフラフラと遊びまわる生活を続けていた。 今の仕事に出会うこととなるのはそれからまた何度もの夏を過ぎてからだった。
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