せみ

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私が仕事を始めるきっかけとなったのは父の死であった。 それまで親の金をあてに遊び回っていた私は父の死によって親の偉大さ、仕事の大切さを知ることとなった。 父は他界するには早すぎるであろう50代前半でこの世を去った。仕事場である機械工場での作業中に突然倒れたのだ。父の命を奪った原因は脳梗塞。 もちろん父が倒れ、病院に運び込まれるその間も私は遊んでいた。 父はどのような想いを残しこの世を去ったのだろうか。 最期まで孝行しない息子に何を思っていたのだろうか。 『お前が居てくれることが一番の親孝行だよ』 そんな綺麗事は絶対に言わない父であることなど、私が一番よく解っていた。
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