じこ

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そんなある日、また面接の合格通知を手にすることもなく、気晴らしにドライブに出た。 そこで見たものは数台前の車に跳ねられたのであろう猫だった。 まだ息はあるようで、腹部が微かに上下している。しかし、脳みそが飛び出し、見るも無残な姿だった。 私は無意識のうちに車を降り、その猫の元へと歩み寄っていた。そして、その猫を静かに抱え挙げ、道の隅へと運んだ。 そのときの私が何故そんな行動をとったのかは私にもわからない。 しかし、それ以来命というものを意識するようになったことだけは確かである。
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