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『なるほど、ね』
サラリと彼の指が私の髪にふれた。
くいるように私を見つめる彼の視線を感じる。
“裏切り者”を見る彼の瞳を見るのが怖くて、閉じた瞳により力を込めた。
『……………もう、そんな時期か。』
フッともれた笑み。
何もかも見透かしているような彼の言葉に内心ギクリとして、目をそっと開けば心底嬉しそうに微笑んだ顔。
学校中の女子を夢中にさせるその綺麗な顔に私の背筋はひんやりと冷たくなった。
『また一つ“一緒”じゃなくなったこと気にしてるの?馬鹿だなぁ。』
『なっ…、』
何言っているの?
『大丈夫、それは仕方ないことなんだよ。気にしなくていいんだよ。さぁ、もう夜も遅いし…』
サラサラと彼に髪を撫でられる私はまるで玩具の人形。
彼の玩具。
“所有物”
『お風呂に入らなきゃ、ね?』
そう私達はいつだって
何をするときも
“一緒”だった。
ううん、“一緒”なのだ。
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