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不思議、だ。
この世に生を受けた瞬間から彼は私の隣にいて、
誰よりも長い時間を共有してきたはずなのに、
彼がわからない。
わからない。
カタンー
小さな物音が遠くで聞こえて、私の意識はゆっくりと現実へと浮上した。
消毒液の香りとヒンヤリ額を冷たくさせているアイスロンの感触。
ぼやけた視界にうつる白い天井を見つめながらここは保健室で、倒れた私を誰かが運んでくれたのだとすぐ理解した。
高校生になってもきっとまたここの常連になるんだろうな、私はまだムカムカと気持ち悪さの残る胃をさすりながら寝返りをうった。
『…大丈夫?』
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