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『琉伊、へーき?』
全力で走ってきたであろう海はハッーハッーと息を切らしながら尋ねてきた。
その問いに私はただ浅く頷く。
ホッと息をついた海の視線は必然的に私の横に立っている少年へと移った。
少年の存在に今気がついたのか少し驚いた顔をした後、海は目を鋭く細めた。
ああ、また始まった。
幼い子供のような意味のわからない嫉妬が。
『…だれ?』
冷たい声。
まるで瞬間凍結されたかのように急に変わった声色は誰が聞いたってわかる。
怒っているのだ。
とてつもなく
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