双子

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『あ、はじめまして。山下 力也(やました りきや)です!』 ニッカと白い歯をだして少年、力也は微笑んだ。 海に睨まれてこんなに笑顔で明るい反応をする人ははじめてで私は目をパチクリさせて驚いた。 ただ顔色の読めない鈍感なだけの馬鹿なのか、それともわざと気づかないふりをしているのか…どちらにしても大物には違いない。 『……琉伊に何か用?』 冷たい表情のまま静かに尋ねた海。 私が誰か異性と二人きりになるとに異常なほど嫌悪感を表す彼に大きく溜息をつき、私はやめてと首を小さくふった。 『彼は私を運んでくれただけ、嫌な言い方しないで。』 そうそう!と力也は無邪気に頷く。 『だから?いつまでもここにいる必要はあるの?』 私が彼をかばった、と思ったのだろう。海はより一層眉根をよせて彼を睨みつけた。 さすがに空気が重く淀んでいることに気がつきはじめたのか 力也は私と海の顔を交互に見交わした後、あ~…と声を漏らした。 『なーんか、俺いなくなったほうがいいっぽいね?』 私は小さく頷くと、ごめんなさいと苦笑した。 力也は『にゃはははっ』と明るく笑いながら、席をたった。
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