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『離れて』
『何で?嫌だよ。』
ガシリと手を捕み、彼は慈しむように私の手を撫でてキスを落とす。
ゾクリとした嫌な悪寒が背筋をはしった。
『…………っ気持ち悪い、』
喉の奥からくる嗚咽に冷や汗が吹き出す。私は必死にそれを押さえようと口元を手で覆った。
…ほら、こんなにも体があなたを拒絶してる。
『そんな様子じゃこのまま教室に戻るのは無理だね。』
ニッコリと、嬉しそうに笑った海はベットから離れ、カーテンの外に出たかと思うとすぐ戻ってきた。
『帰ろう?琉伊。』
まるでこうなることをわかっていたかのように海の手には私の鞄が持たれていた。
そう、もちろん
彼のぶんの鞄もだ。
ギシリと心が軋む音が聞こえる。
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