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ジワジワと青ざめていく顔色。
私は今きっと酷い顔をしているに違いない。
それでも精一杯の虚勢をはり、フンと余裕の笑みを浮かべてみせた。
『まさか一緒に帰るつもり?』
『うん、もちろん。どうせ琉伊は一人じゃ何もできないし。』
『女子寮までついてくるきなの?いくら兄でも入れるわけな』
『ばかだなぁ』
彼が愛おしそうに目を細めながら微笑み、そして私を抱き抱えようと手を伸ばしてくる。
その手をバシリと叩いたつもりが力が入らない弱々しい抵抗は何の意味ももたず、そのまま彼の腕は私の体へと巻き付いた。
『琉伊が寮にはいるなんてお母さん達が許すわけないだろ?』
彼が嘲るように囁いた。
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