ふたり

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『うっ……うっ…えっ、はっ…』 『あらら、吐いちゃったね。』 気持ち悪さに我慢できず胃のなかのものをもどした私の背中を優しく摩り、海はゆっくりと抱きしめた。 『大丈夫、琉伊大丈夫だよ。落ち着いて』 誰のせいでっ こんなに苦しんでると… 気持ち悪さと息苦しさ。 なのにどこか安心してしまう彼の体温。 私は一体どうしたいんだ わからない。 わからない 抱きしめる腕にほんの少しもたれながら彼の心臓の音に耳を傾け、静かに目を閉じた。 ドクドク ドクドク 海が生きている音。
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