ふたり

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『さっきはごめん。少しやりすぎたね』 風呂からあがり、リビングのソファに寛ぐ海がサラリと言った。 少し…どころではない。その悪びれた様子のない海の態度に不快感を覚えながらも私はただ黙った。 あんなことについていつまでも話したくない。 『でもさぁ、安心した』 クスクスと肩を揺らし、愉快に笑いだした海に私は眉をひそめた。 『………何が、』 何が安心したというのだ気持ち悪くなって吐いた私の何が。 『だってアレぐらいで吐くなら当分誰とも付き合えないよね。だってエッチできないもんね絶対』 何故、そんなに嬉しそうに微笑むの? 勝手に決めつけてがんじがらめにして 征服しようとしないで 『……別に、好きな人のじゃなきゃ誰だって気持ち悪くなるでしょ』 『………』 ガラリと笑顔から真顔に変わった海。 『……へー?なにそれ』 黒い影がおりてくるように機嫌が悪くなっていくのがわかる。 『俺のことは好きじゃない、気持ち悪いっていいたいの?』
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