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依子と恵ちゃんは姉妹だけれど、あんまり似ていない。
傲慢で男勝りな姉と、引っ込み思案でいつもおどおどしている妹。
雪国にあって小麦色の肌で陸上競技に明け暮れる姉と、優しいフルートの音色が似合う真っ白い肌の妹。
兄弟姉妹なんて、案外こういうものなのかも知れない。
毎度、体育を見学する兄と、音速で走る弟。
丸刈りな上、未だ股に毛も生えない兄と、全身に美しく長い毛を靡かせる弟…
よそう。
マルスと比べても、気が滅入るだけだ。
いつもどおり、二人の家で恵ちゃんだけ下ろすと、車は我が家に向けて出発した。
「依子は寂しくない? 恵ちゃんが居なくなったら。」
滅入る気持ちを誤魔化すみたいに、訊いてみる。
「平気です。」
返ってきたのは、それだけ。
もう少し活発でも良いのにな。
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