始まりの日

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「初めまして…空木(うずき)と言います。」 丁寧に挨拶をするので、私はタジタジになる。 「え、あ、初めまして。蘭です。」 爽やかに笑う空木さんは俳優並み。 「これから先よろしくお願いしますね?」 ん? これから先? 「あれ?聞いていなかったのですか?」 「何を?」 「あなたは私に売られたんですよ?売られたとは違いますね…借金の肩代わりですよ。」 笑顔でサラッと凄い事を言った。 売られた?借金の肩代わり? 「あなたのご両親は命乞いをしたんですよ。 “命は助けてくれ、変わりに娘を渡すから。” 無様でしたよ。 」 クックッと笑いながら空木は話す。 私の中からはフツフツと湧き出す感情を抑えるのとワケの分からない事を考えるのに必死だった。 「…ギャグ?」 「面白いですね。…でも、ギャグではありませんよ。」 笑顔のまま話し続ける空木。 「お父…さん…?…お母…さん?」 俯いたままの両親を見て私は感情に乗っ取られた。 「蘭さん?」 「蘭?」 私の空気が変わったのに気付いたのか空木さんも両親も不思議そうに見る。 「今から来て下さい。」
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