わたし

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冗談でもお世辞でもない。 だって雪香先輩、学年10位内にはいつも入ってるし、部活の先輩達だって、 「雪香よくやるわね、練習とテスト…両立させるのは大変なのに。」 なんておしゃべり聞いたの、一度や二度じゃないもの。 「ううん、最近手抜きし始めちゃって。あぐらかいてちゃダメね。ついつい楽する。ダイエットみたいなものかな?。」 恥ずかしそうにわたしに微笑んだ。 あ、なんか、この笑顔にまた…ぼうっとしてしまいそうなわたしを置いて、雪香先輩は取り出されたノートにペンを走らせる。 小声でとはいえ、これ以上図書室でおしゃべり出来ないし、雪香先輩の勉強の邪魔になる。 わたしはどきどきしながらだけど、必死で本に集中しようとした。 したけど…本の内容なんて、頭の中に入って来ない。 この胸の高鳴りが聞こえないのが、不思議。 わたし一人でどきどきしてる。 こういうのって、ちょっと寂しい。 雪香先輩にどきどきしてほしいなんて無理な相談だよ。 雪香先輩は女子、わたしも女子。
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