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わたしだって、有り得ない気持ちに戸惑ってはいるもの。
考えてみてよ、今まで同性のことなんて、恋愛対象に見た事なんて一度だってない。ないのにいきなりだもの。
なのに、神様はどうしてわたしにこんな気持ちを与えたんだろう。
恨みたくなる、おまけに恋人もいる人なのに…。
本当にみじめになって来ちゃった。
わたしは立ち上がる。
「え?どうしたの?。」
どうせなら雪香先輩、気付かないで欲しかった。音も立てないようにしたんだけどな。
「気分が悪くなって来ちゃって…今日は帰りますね。」
精一杯の笑顔で返したわたしを、雪香先輩はちょっぴり不信そうに見ていたけれど、
「そうなんだ、気をつけてね。」
言葉短くだけど、優しく言ってくれた。
わたしは急ぎ足で、本を元の場所へ返して、図書室を後にした。
勿論、孝江にも断りを入れるため体育館へ向った。
「孝江、ごめん。今日わたしもう帰るね。」
「どしたのよ?なんかあった?。」
わたしが体育館入口から手招きすると、孝江がコートから抜け出して来た。
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