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「なんかね、吐き気してきちゃって。多分風邪ひき始めみたいな感じ。」
「え?じゃ早く帰りなよ。帰れる?一人で?。」
孝江は妙に過保護なところがある。わたしだけに限った事じゃないけれど。
友達が多いのもうなずける。そういう程度の過保護さなのだ。
「大丈夫。薬飲んで休めば治るよ。ほら早く練習戻らないと。」
孝江は少し、名残惜しそうにしてたけど、しょうがないよ。
有り難いけどこれ以上はね。
わたしは、体育館を出て校庭を歩く。
その時ちらっと、三階の図書室の方を見た。
あそこにまだいるんだ、あそこで机に向って勉強してるんだ。
ずきんと胸が痛んだ。
わたしっていつもこうだな。好きになった相手とは一緒になれるなんてことないのかしら?
つい悲観的になってしまうけど、ただ勇気が持てなかっただけだもの。決してそうじゃないよ。
止めなきゃ、悲劇のヒロインなんて似合わないし馬鹿みたい。
今回は、勇気が持ちたくても持てない相手だったんだ。それだけなんだ。
そう考えたら涙がにじんで来そうで、わたしは首を横へふる。
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