わたし

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見ているだけで十分なんて、ありえない。 ほんとは手をつないでみたい、デートだってしてみたい。 それ以上のことはあんまり、考えてはないけど…。 薄暗くなった空を見つめて、大きく息を吸い込む。冷たい空気が熱くなってる喉へ通って行く。 泣きそうなんだな、わたし。 悲劇のヒロインなんか、嫌いなのに。 恋にうっとりするなんて、恋に叶わないで泣きそうになるなんて格好悪い。 雪香先輩、雪香先輩ー好きです。 初めて見た時から、素敵だって思っていました。 そう言ってしまえたらどんなに幸せだろう。 わたしの恋は飲み込むばっかり。 ごまかして、拒否されるのを避けてるだけの、一方的な恋ばかりだ。 じんわりにじんて来てしまった瞳の塩水を、裾で乱暴にこすったら、別の意味で涙がこぼれそうになった。
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