99人が本棚に入れています
本棚に追加
プルルルルル....
私は携帯を取り出し電話をかける…
『はい…もしもし』
携帯から少し怯えた声が聞こえる…
「…蓮?」
『お嬢! どうなさったんですか!?』
驚き慌てた声…
「あれ…私…声震えちゃってる…?」
『お嬢!』
「お嬢って呼ぶなぁ…」
私の目から涙がこぼれ落ちた…
『キサキ? どうした?』
蓮の声が急に優しくなる…
「わかんない…」
『今すぐ行く! どこにいるんだ?』
「◇◇駅の前…」
『わかった! 待ってろよ!』
それだけ言うと電話が切れた…
蓮は高校生の時にウチに来た…
全く私達の職業とは関係の無い一般人だった…
私の家…
川野組と敵対していた組の金融会社にお金を借りていたらしい…
返済期間はまだあったのにも関わらず…
その組に乗り込まれ…
父親が殺された…
そこにちょうどうちのじい様と親父が通りかかって…
血まみれの蓮と刺した組員を連れて来た…
父子家庭で親切が居なかった蓮をウチで預かったらしい…
私はまだ4歳だったから…
急にお兄ちゃんみたいな存在が出来て嬉しかったな…
最初はふさぎ込んでた蓮だけど…
日に日に落ち着いてきて…
私の相談相手になってくれた…
本当のお兄ちゃんみたいな存在…
「キサキー!!」
電話が切れて10分くらい経った頃…
蓮の声が聞こえた…
「蓮…?」
汗だくで肩を上下さす蓮の姿…
「キサキ…大丈夫か?」
私に駆け寄り抱きしめてくれる…
「蓮~…」
私は蓮に抱き着き泣く…
「よしよし…」
優しく頭を撫でる蓮…
「キサキッ!」
蓮の向こうから私を呼ぶ声…
この声はタカだ…
.
最初のコメントを投稿しよう!