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〈田口side〉
目の前には信じられない光景が広がっている。
こんなでかい船が存在し得るの?
地球製・・・?・・・じゃないわね・・・
衝撃が大き過ぎて、感慨にふけってしまう。
「こんなことってあるの?」つい呟く。
しかし、耳に入ったミサイル警告音のおかげで我に帰る。
「艦長!敵艦からのミサイル攻撃再開!」
「敵対艦ミサイル接近!総数20!」
「着弾まで30秒!」
艦内に怒号が響きあう。
「対空砲射撃開始!チャフを射出しつつ、三時方向に回避!」咄嗟に指示を出す。
「それから―――」指示すべきかどうか一秒ほど迷う。「――総員退艦準備!」今の状況を鑑みれば退艦指示は適切だ。
敵と本艦の戦力差は誰がみても明らか。
しかも、ついさっきプラズマ砲を発射したばかりだから、次にジャンプアウト出来るようになるにはまだ時間がかかる。
自艦の火力で対抗出来るわけでもない。
八方塞がり。
その状況下で艦長が下すべき決断―――それは、〈乗員を護ること〉。
それが艦長たるものの責任だ、少なくとも私はそう思っている。
「艦長!何言ってるんですか!私は残ります!」
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